The Devil Dogs

90年代の伝説的ガレージR'nRバンド、結成は89年にニューヨークにて。
基本はキャッチーなメロディを、荒々しいRawなドライビングギターで繰り出すポップなR'nRサウンド!
60sガレージそのままではなく、Ramonesや同郷のDictatorsなどの要素も貪欲なまでに取り込んだ、
雑多でいて絶妙なサウンドは、Andy GortlerとSteve Baiseの二人の天才ソングラターによって生み出される
まさにNew(York) Garage、Devil Dogs節と呼ぶに相応しい物でしょう。

2度目の来日も果たした1994年末に惜しまれながらも解散。
後にBassのSteveは何故かノルウェーのバンド(Yum YumsのVo.Morten含む)と合流してThe Vikingsを結成する。

Devil's Hits [Compilation]

Devil's Hits

1+2(Barn Homes)から91年リリースの来日記念コンピレーションCD
内容は89年の1st(Devil Dogs)と90年の2nd(Big Beef Bonanza)のカップリングに、
当時未発表だった3曲を加えた豪華27曲、後にCryptからリリースされる30 Sizzling Slabsに内容的には近いが、
We Three Kingsが収録されていないのと、ボーナス3曲が収録されている点が異なる。

荒々しくも軽快なR'nRサウンド、男らしくもあるが、それぞれちょっと抜けた野暮ったいボーカル、
絶妙に絡めてくる気色ええコーラスワークと、どれをとっても見事。後期の分厚い音質に比べると、
スカスカでシャリシャリした音質ではあるが、この時点で既に完成されたDevil Dogsサウンドは必聴の出来!

ちなみに本作はカバー曲が意外と多い、The Saintsのカバーでこの辺のファンには馴染み深い、
Elvis PresleyのKissin' Cousinsや、Ramonesのカバーが有名なFreddy CannonのPalisades Park、
Dictators、Shadows of Knightなど彼らのルーツが見えたとき、誰しもがニヤリとさせられるはずだ。

We Three Kings

We Three Kings

92年Crypt Recordsからリリースの3rd
僕のは1+2からリリースされたCDで、ボーナスにスイスでのライブテイクが収録されています。
どうもこのライブ音源は本作にしか収録されていないらしいです、なのでかCryptからは廃盤ですが、
Barn Homesではまだ新品で買えるみたいですね、まぁCryptからも1st〜3rdまでの編集盤があるのですが。

前作の延長線上にノリの良いアップテンポなR'nRナンバー溢れる快作、
ボーナスのライブもクリアなサウンドで非常に聴きやすくて、僕は一番これが気に入っています。
ちなみに1+2盤は帯に"1+2からの2nd"(Devil's Hitsを1stとしているみたい)と紛らわしい事が書かれている。

Saturday Night Fever

Saturday Night Fever

1993年Crypt Recordsからリリースの4th
怪人Kurt Blochプロデュースとお馴染みシアトルEgg Studio録音によって、
全体的に音圧が増して音質は分厚く、音自体は変態プロデュースでよりポップに変化しています。

お得意のドライビングなアップテンポR'nRナンバーもこれまで同様に冒頭のBig Fuck'n Partyから、
ぶっ飛ばしてくれるのですが、6曲目では打って変わって哀愁漂うメロディーのBackstageを収録しています、
これGene Pitneyのカバーなんですが、Andyの熱い込み上げるような男泣きボーカルが堪りません、泣けるでよ。
彼らのカバーってこの曲に限らずとも、どれも先人への愛が溢れているように思えます、ホント。

というわけで、ポップガレージR'nR、Devil Dogsサウンドの究極的傑作!
ちなみにSympathy For The Record Industryからはジャケ違いのCDがボーナストラックを追加し、
同年(?)にリリースされています。個人的にはCrypt盤の方がジャケがカッコよくて好きですね。

The Devil Dogs/The New Bomb Turks [Split]

The Devil Dogs/The New Bomb Turks

Helter Skelter Recordsから1993年リリースのSplit 7Inch
お相手はCrypt RecordsのネオガレージパンクロックバンドThe New Bomb Turks、
Devil Dogsがポップ寄りガレージロックを、同時期により攻撃的なパンク寄りなガレージロックを
プレイしたのが彼らThe New Bomb Turksである、まさにCrypt Recordsの二大バンドスプリットが今作といえるだろう。

内容はお互いの曲をカバーしあっていて、Devil Dogs側はNew Bomb Turksの名曲Tatooed Apathetic Boys。
Andyがボーカルをとり、結果的に珍しくパンキッシュな仕上がりとなっていてこれもこれで、なかなかカッコいい。
対するNBT側はメドレー形式でRock City USA、Action、Backstage、RC USAをプレイ、スピーディな面白いカバーだ。

Choad Blast

Choad Blast

1993年eMpTyからリリースのCDEP及び2枚組み7Inch
こちらもKurt Blochプロデュース作、Saturday Night Feverの延長線上にポップなサウンド。
Andyの曲の中でも稀代の大名曲、クラップハンドでゴキゲンな弩ポップナンバーRadio Beat収録。
つづくCan't Get EnoughはSteveの曲で、こちらもポップでなかなかの佳曲となってます。
そしてシアトルガレージパンクバンドThe Sinister SixのJames Burdyshawがギターで参加する、
Death Of Mighty Joeは1st辺りを思わせるドライビングなサウンドがカッコいい名曲!

曲数は6曲(内2曲はイントロとアウトロで実質4曲)と少ないですがこちらも傑作ですな。

...Stereodrive!

...Stereodrive!

94年1+2からリリースの5th、ラストアルバムかな。
このちょっと前に出たEP、LBMF同様Headache Studios録音で4thに比べかなりくぐもったようなラフな仕上がり。
より本来のガレージに近い音ともいえますが、ポップな音を求めるとイマイチに思われるかもしれませんね。
ラフで分厚いパワフルなサウンドはカッコイイし、ホーンを取り入れた意欲的な曲なんかもなかなかなんですが、
曲数の少なさ(全8曲)や、ポップさが薄くなったのはやっぱり痛いかなぁ。

そして、このアルバムのリリースを最後に1994年の暮れ頃には彼らは解散してしまったようです。

Bigger Beef Bonanza [Compilation]

Bigger Beef Bonanza

解散後の96年にCryptからリリースのコンピレーションアルバム、12Inchオンリー
内容は2ndのBig Beef Bonanzaと3rdのWe Three Kings(1+2のボーナスは無し)のカップリングで、
同時期に1st Devil DogsもLPでCryptより再発されている事から分かる通り、アナログ再発シリーズである。
これは現在もCrypt 180 Gram Vinylという豪華重量盤がガンガンプレスされており、セールスも好調らしい。

ちなみにCDではこれと似たようなジャケで30 Sizzling Slabsという名前の1st〜3rdをまとめた物が存在する。
余談ですが、僕は前述の1+2の2nd表記などもあって、新作だと勘違いしてBarn Homesでこれを買いました。

No Requests Tonight [Live]

No Requests Tonight

解散後の97年にSympathy For The Record Industryからリリースされたライブ盤
1994年、カリフォルニアのライブハウスOur Houseで行われたギグでの模様を収めたライブアルバム。
MCは少な目に、全11曲を矢継ぎ早にプレイ。スタジオ作品以上の躍動感溢れるサウンドはまさに、
生まれついてのライブバンド、Devil Dogsの最も脂の乗った部分と言っていいでしょう、好盤。

Andyを中心にメンバー自身が編集に携わっているらしく、その甲斐もあってか、
綺麗過ぎない(スカスカしない)程度に、鮮明に彼らの魅力を耳へ音として伝えてくれる。
...Stereodrive!の曲も入ってるけど、ぶっちゃけアルバムよりこっちの方がカッコイイ!
I Don't Know What I Want、Jump On You(途中でSoul Shoesにカットインされるのがヤバイ!)
現在地味に手に入りづらいChoad Blast収録の大名曲Radio Beatも聴けるでよ!

Notes:

Sound of the Day